入社した会社に持株会って言うのがあって、加入を進められたんだ
積み立て金額に対して、会社が10%上乗せしてくれて、お得そうだから、加入しようと思ってる
持株会は、会社の福利厚生のひとつで、加入した従業員が毎月一定金額を出し、持株会が集めたお金で自社株を購入して、管理する仕組みだね
今から老後の資産形成を、なんて謳い文句でポスターなどが貼られているね
加入する前に、本当にお得かどうか、一緒に考えよう
持株会と言うのは、勤めている会社の株を、毎月定額金額分積み立てて購入する、福利厚生制度の一つです
会社によっては、積み立て金額に対して、5~20%程度を会社が上乗せしてくれ、中には100%の奨励金を出す企業もあります
長期のインデックス投資では、平均して年利5~7%程度が見込まれると言われていますが、例えば100%を会社が確実に上乗せしてくれるのは、魅力的ですね
Contents
さっそくですが、結論は。。
持株会を 儲かるか 儲からないか という視点では、考えない方が良さそうです
投資の基本はリスク分散と言われるように、リスクをいかに分散させるかが大切
持株会に入るということは 自分の体である人的資本を投じている同じ会社へ 更に株式投資する事を意味します
人的資本も金融資産も一つの企業に投じるようなやり方は、投資としてはリスク分散になっていません
従って 投資という目的においては、持株会はお勧めできない方法になります
周りの人がやっているから、という理由で持株会へ加入している人が多い
奨励金の10%は年利に相当するのではなく、積み立てた年だけ
人的資本も金融資産も一つの会社へ投資するのは、リスク分散効果がない
儲かる人もいれば、儲からない人もいるでしょう
特に配当利回りが低い企業で、積立期間が数年程度と短い場合、配当金再投資による複利効果と、株価上昇による恩恵のどちらも得られない可能性が高くなります
一方、配当利回りが高い企業で数年程度の短期間の場合は、若干プラスになる可能性が高まりますが、毎月の積立金額が数万円程度が上限のケースが多く、短期で利益が何十万円にもなることは稀でしょう
では10年以上の長期積立の場合、配当利回りが高いか、企業の成長が見込める場合は、儲かる確率が高まります
そして、奨励金はあくまで積み立てた時だけですので、その利回りとして計算する場合は要注意
奨励金10%の場合、積み立てた年単年でみれば利回り10%ですが、2年目になると単純計算で半分の5%、5年目には2%となります(いずれも複利でなく単利の計算です)
配当利回りを狙うなら他にも沢山企業がありますし、株価上昇を期待するなら、日本の一企業に頼るのでは無く、日本全体、米国全体、或いは世界全体に投資する様な商品の方が小さいリスクで十分なリターンが見込めます
これらを一つ一つ解説したいと思います
周りの人がやっているから、という理由で持株会へ加入している人が多い
私自身、実際に持株会へ少額から加入してみて、増額しようかな、と検討したときに至った結論です
お付き合い程度のつもりで持株会へ加入しました
当時はまだ投資などしたことがなく、投資に対する知識が乏しかったのは事実
自分が働いている会社の株なら、「安心」と思い込むバイアスが働いていたのも事実です
人は心理的に、自分が正しいと正当化する生き物
従って、自分が正しいから、自分が選んで入社した勤め先の会社の株を購入するのも正しい、と思い込んでしまう
逆に勤め先を否定することは、自分の会社を選ぶ能力を疑い、自分自身を否定することに繋がってしまう
実際は会社や上司の悪口を言っている人、世間では結構いるかもしれません
何か悪いことが自分にふりかかると、人のせいにしてしまう
でも止めた方が良いです
どこに居ても、悪口を言っている人のところには、共感して悪口を言う人が集まってきます
さて、話が逸れたので元に戻します
持株会に入会して数年が経ち、実際に米国株と日本株に投資を始めました
持株会に加入した当時とは違い、リスク分散の必要性を実感し、長期投資と利回りの知識があります
ある日、持株会から定期的な積立て経過を説明する通知書類が届きました
ちょうど新型コロナの影響で、世界中の株価が下がっていたこともあり、勤め先の株価も例外ではありません
私自身が積み立てた持ち株会の評価額は、若干のマイナス
それでも「自分は正しい=自分が行った事は正しい」というバイアスのかかった私は、新型コロナの影響だから、今は仕方ない、くらいに一瞬考えました
でも次の瞬間、「待てよ」と思い直します
自分の証券口座で保有している株よりも積立期間の長い持株会の株の評価額が、なぜ保有する米国株や日本国株と同じくらいのマイナスなんだ?と
自分は長期インデックスと高配当株への投資をしているが、なぜ勤め先の株を「選ぶ」必要があるのか?
実際、持株会で保有する株の配当利回りはそれほど高いわけでもなく、株価が右肩上がりに上がっているわけでもありません
しかも、毎月の積立て時に奨励金が10%もついているのに、おかしい
10%もつくの?すごいお得じゃん
待てよ、奨励金10%って、積み立てた月にもらえるだけで、取得した株や株の評価額に対して貰えるわけではない
ということは。。。
奨励金の10%は年利に相当するのではなく、積み立てた年だけ
利回り、または、年利、というのは、資産が増える年毎の割合のことです
もう一度言います
利回り、または、年利、というのは、資産が増える年毎の割合のことです
(しつこい笑)
一方、奨励金は毎月積み立てたお金に対してであり、持株会の株に対してのお金ではありません
例えば、奨励金10%の場合、株価が変わらないと仮定した場合の年利換算は、1年間で10%、2年間で5%、5年間で2%に相当します
それでも5年間、配当利回りがプラス2%だと思えば、悪くない数字ですね
ただ、数字だけを見て、その本質を見誤らないことが大切です
人的資本も金融資産も一つの会社へ投資するのは、リスク分散効果がない
有名な投資の格言で、「卵はひとつの籠に盛るな」というのがある
一つの籠に10個の卵を盛ったとき、その一つの籠が落ちたら、卵10個は全て割れてしまう
でも2つの籠に5個づつ盛れば、一つの籠が落ちても、もう一つの籠が残り、5個の卵は割れずに済む
こうして籠の数を増やせば増やすほど、リスク分散になる
そうか、籠は沢山用意した方が良いんだね
更に、籠を置く机を2つ、3つと増やせば、机自体が倒れても、別の机に乗った籠と卵には被害が広がらない
へー、籠を置く机にも気をつけなきゃいけないんだね
投資で例えると、籠は個別株、あるいは米国や先進国、新興国などの株などの種類
机は、株、債券、不動産といった、投資先の種類に例えることができます
例えばS&P500のようなインデックスファンドの場合、米国の優良企業500社へ投資できますので、籠を分けるという意味では十分な分散になっています
勤務先への一極集中投資になり、リスクが高い
インデックス投資は年利5~7%
一方でインデックス投資の場合、長期で期待できる年利は5~7%と言われています
低めに見積もって、5%だとしても、投資のリターンとしては、十分な数字です
例え、御自身が勤める会社の株価が、年利5~7%で成長したとしても、わざわざ一社に投資する必要は無いですし、10%以上で急成長している場合でも、その成長が10年を超えて長続きする事は非常に稀です
持株会は、勤務先を退職するまで積み立てるケースが多い上、インサイダー取引防止のため、毎月の積立金額の変更も容易ではないため、短期投資にも向かないのです
勤め先の株の配当金が高配当なら良いか?
それでは、勤め先の株が、高配当株なら良いのではないか、という声も聞こえてきそうです
高配当株であれば、短期的にも長期的にもある程度利益を見込めます
しかしながら、やはり業績自体確約されたものではないですし、特定の会社へ集中投資することはリスクが高いと言わざるを得ません
それに、高配当株は、他にもたくさんありますね
まとめ
やはり、投資という目的においては、持株会はあまりお勧めできない、です
持株会の性質上、短期というよりも、長期投資積立てになりますが、どうしても1社集中投資になってしまいます
そして、長期間になると、奨励金が年利を押し上げる力も薄れてしまいます
周りの人がやっているから、という理由で持株会へ加入している人が多い
奨励金の10%は年利に相当するのではなく、積み立てた年だけ
人的資本も金融資産も一つの会社へ投資するのは、リスク分散効果がない
どちらかというと、お付き合いとして毎月数千円積み立てて、退職するときのお小遣い程度に考えるくらいが丁度いいかもしれません
以上、参考になれば幸いです
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