「高配当株を地元から探したいけれど、自分の街にどんな上場企業があるのか分からない」「利回りが高い銘柄に飛びついて失敗しないか不安」――地元銘柄を選ぼうとすると、そんなところでつまずきがちです。
結論から言うと、トヨタグループの城下町・愛知県刈谷市の上場6社を財務7指標でチェックした結果、優良高配当株として残ったのはデンソーとアイシンの2社でした。利回りの高さだけでなく、配当を払い続ける体力(財務)があるかまで見るのが、地元高配当株選びのコツです。
この記事では、私が実際に地元・愛知の高配当株を買いながら分析してきた経験をもとに、刈谷市の上場6社を1社ずつ財務7指標で全件分析します。【愛知シリーズ第3弾】として、豊橋・名古屋に続き、いよいよ本丸の西三河・トヨタ城下町を取り上げます。読めば「地元の優良高配当株をどう見分けるか」の判断軸が手に入ります。

刈谷市って、車の会社がいっぱいあるイメージだけど…高配当株として見るとどうなの?

いいところに気づいたね。刈谷は人口15万人ほどの街なのに、売上1兆円超の上場本社が並ぶ「トヨタ城下町」なんだ。今回はその6社を全部チェックして、残ったのが2社。順番に見ていこう
結論:刈谷から選んだ優良高配当株はこの2社
先に結論をお伝えします。刈谷市の上場6社のうち、私の基準で優良高配当株と判断できたのはデンソーとアイシンの2社でした。残り4社はウォッチリスト3社・除外1社という内訳です。
| 銘柄 | コード | 業種 | 配当利回り(税引前/税引後) | 結論 |
|---|---|---|---|---|
| デンソー | 6902 | 輸送用機器 | 3.99% / 約3.18% | 🟢 優良(今回の主役) |
| アイシン | 7259 | 輸送用機器 | 3.30% / 約2.63% | 🟢 優良(タイミング次第) |
| トヨタ紡織 | 3116 | 輸送用機器 | 3.99% / 約3.18% | 🟡 ウォッチ |
| ジェイテクト | 6473 | 機械 | 3.51% / 約2.80% | 🟡 ウォッチ |
| アスカ | 7227 | 輸送用機器 | 3.00% / 約2.39% | 🟡 ウォッチ(厳格運用なら除外) |
| 三和油化工業 | 4125 | 化学 | 1.91% | ⚫ 除外(高配当ではない) |
※税引後は所得税15.315%+住民税5%(NISA口座外)を考慮した概算値です。利回りは2026年6月12日時点の会社予想(2027年3月期。アスカのみ2026年11月期)ベースで、株価により日々変動します。
なお、刈谷を象徴する存在だった豊田自動織機(6201)は、2026年6月1日に上場廃止となり、すでに投資できなくなりました。この「上場企業でなくなった1社」の話は、刈谷を語るうえで外せないので、後ほどコラムで触れます。
私が高配当株として目安にしているのは「税引後3%以上(税引前で約3.76%以上)」です。デンソーはこの基準を税引後でもクリア。アイシンは税引前3.30%・税引後2.63%と基準には届きませんが、財務が健全で増配を加速しているため、株価が調整した局面でなら十分に狙える銘柄として本命に据えました。理由は本文で解説します。
刈谷市に本社を置く上場企業6社|人口15万人で1兆円企業4社
愛知県刈谷市は、名古屋の南東・西三河エリアにある人口約15万人の市です。規模は決して大きくありませんが、ここはトヨタグループの中核企業が集まる「トヨタ城下町」。刈谷駅前には、売上1兆円を超える上場企業の本社がいくつも並んでいます。人口15万人の街に1兆円企業が4社という集積は、全国的にも極めて珍しい光景です。
2026年6月12日時点で、刈谷市に本社を置く上場企業は次の6社です。
| 社名 | コード | 市場 | 業種 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| デンソー | 6902 | 東証プライム | 輸送用機器 | トヨタグループ中核・売上約7.5兆円 |
| アイシン | 7259 | 東証プライム+名証プレミア | 輸送用機器 | トヨタグループ・売上約5.1兆円 |
| ジェイテクト | 6473 | 東証プライム+名証プレミア | 機械 | 旧・光洋精工+豊田工機 |
| トヨタ紡織 | 3116 | 東証プライム+名証プレミア | 輸送用機器 | トヨタグループ・シート/内装 |
| 三和油化工業 | 4125 | 東証スタンダード | 化学 | 産廃リサイクル・再生溶剤(2021年上場) |
| アスカ | 7227 | 名証メイン | 輸送用機器 | プレス部品・制御盤 |
6社のうち5社が自動車関連(輸送用機器・機械)で、しかもそのほとんどがトヨタグループ。豊橋編で「自動車関連が2社あるあたりが愛知らしい」と書きましたが、刈谷はまさにその本丸と言える顔ぶれです。
コラム:刈谷の「上場企業」が1社減った日――豊田自動織機の上場廃止
刈谷を語るうえで、2026年の大きな出来事に触れておきます。トヨタグループの源流であり、刈谷を代表する企業だった豊田自動織機(6201)が、2026年6月1日に東証プライム・名証プレミアで上場廃止になりました。
背景にあるのは、トヨタ自動車・トヨタ不動産陣営による株式公開買い付け(TOB)です。買収総額は約5.9兆円。これは日本企業同士のM&Aとして過去最大規模で、2026年3月23日に成立しました。近年進む「株式の持ち合い解消」の象徴的な動きとも言えます。

じゃあ豊田自動織機の株は、もう買えないってこと?

そう、上場廃止だから市場では買えなくなったんだ。だから今回の分析対象からは外している。でも「刈谷の上場本社が1社減った今、残りの企業はどうなのか」――これがこの記事のテーマだよ
豊田自動織機はすでに投資できないため、本記事の分析対象からは除外します。ただ、刈谷の上場企業を語るうえで欠かせない存在なので、ここで触れておきました。残った6社が「配当を産む優良企業」と言えるのかを、次の章から見ていきます。
選定基準:今回採用した7つの財務指標
銘柄を選ぶ前提として、今回も私が普段から参考にしているリベ大両学長の動画を2本引用します。基準は両学長の解説をベースにしていますが、最終的な採否はすべて私自身の判断で決めています。
①第130回:高配当株の「分析ツール」の使い方
財務チェックの具体的なやり方を解説している動画です。今回の7指標も、この動画で紹介されている考え方をベースにしています。
②第239回:高配当株投資の銘柄選びの大前提5選
財務だけでなく、高配当株投資そのものの考え方を学べる動画です。「なぜ高配当株なのか」を再確認したい方はこちらから。
今回採用した財務7指標
| # | 指標 | 目安 |
|---|---|---|
| 1 | EPS(1株あたり利益) | 長期で右肩上がり |
| 2 | 営業利益率 | 業種平均並み以上で安定 |
| 3 | 自己資本比率 | 40%以上が理想 |
| 4 | 営業CF(キャッシュフロー) | 継続して黒字 |
| 5 | 現金等 | 増加傾向 |
| 6 | 配当金 | 連続増配 or 減配なし(累進配当) |
| 7 | 配当性向 | 30〜50%が健全 |
加えて、配当利回りは税引後で3%以上(NISA口座外の場合、税引前で約3.76%以上)を目安としています。ただし利回りは配当金と株価の比率で決まるため、同じ銘柄でもエントリーするタイミング次第で大きく上下する点には注意が必要です。
本命2社の詳細分析|デンソーとアイシン
ここからは本命の2社を、財務7指標のスコア表とともに詳しく見ていきます。なお各社の判定では、確認できた「事実」と、私なりの「評価・見立て」を分けて書くようにしています。
デンソー【6902】 🟢 優良(今回の主役)
デンソーは、トヨタグループの中核をなす世界有数の自動車部品メーカーです。売上は約7.5兆円。カーエアコン、エンジン制御、安全システムなど、クルマの「頭脳と神経」にあたる部品を幅広く手がけています。刈谷といえばまずこの会社、という地元の顔です。
7指標スコア(2026年3月期実績ベース)
| 指標 | 数値 | 判定 |
|---|---|---|
| 配当利回り(会社予想・2027/3期74円) | 税引前3.99% / 税引後約3.18% | ✅ 3%超(税引後基準もクリア) |
| EPS(調整後) | 104.97円→145.02円→162.96円 | ✅ 右肩上がり |
| 営業利益率 | 5.3%→7.3%→7.3% | ✅ 改善・高水準 |
| 自己資本比率 | 約62.9%(※中間時点) | ✅ 極めて強固 |
| 配当推移(調整後) | 55円→64円→67円→74円(予) | ✅ 連続増配 |
| 配当性向 | 2026/3期 41.1%(予 約50%) | ✅ 健全圏 |
| 株主還元方針 | DOE 3.0%からの継続的上昇 | ✅ 長期安定配当 |
※自己資本比率約62.9%は2026年3月期の中間時点の数値です。通期確定値は変動する可能性があるため、最新は同社IR・決算短信でご確認ください。また同社は2023年10月に1株を4株にする株式分割を実施しており、上記の配当・EPSは分割を考慮した調整後の数値です。
評価のポイント
デンソーは、今回の刈谷6社のなかで7指標がほぼ満点の銘柄です。自己資本比率は約63%と財務基盤が極めて強固で、営業利益率も7%台と部品メーカーとして高水準。EPS・配当ともに右肩上がりで、配当性向も40%台と無理がありません。
特筆すべきはDOE(株主資本配当率)3.0%を起点に、継続的な引き上げを掲げた株主還元方針です。DOEは利益の振れに左右されにくく、安定配当との相性が良い指標。配当利回りも税引前3.99%・税引後でも約3.18%と、私の目安「税引後3%以上」をしっかりクリアしています。地元のシンボル企業が、財務・配当の両面で文句なし――今回の主役にふさわしい1社です。

デンソーは「利回りも財務も両立」している珍しいタイプ。利回り目当てで財務がボロボロ、みたいな罠銘柄とは正反対なんだ

地元の看板企業がしっかり配当も出してくれるって、応援したくなるね!
アイシン【7259】 🟢 優良(購入タイミング次第)
アイシンは、トランスミッション(変速機)やブレーキなどの駆動・走行系部品を中心に手がける大手自動車部品メーカーです。売上は約5.1兆円。デンソーと並ぶ刈谷のもう一つの巨頭で、東証プライムと名証プレミアに上場しています。
7指標スコア(2026年3月期実績)
| 指標 | 数値 | 判定 |
|---|---|---|
| 配当利回り(会社予想・2027/3期75円) | 税引前3.30% / 税引後約2.63% | 🟡 税引前3%超(税引後は基準未達) |
| EPS(調整後) | 46.59円→112.31円→137.81円→232.64円 | ✅ 急回復・増加 |
| 営業利益率 | 4.1%→4.5%(売上5兆1,177億) | 🟡 5%未満(改善中) |
| 自己資本比率 | 48.8%(前期46.1%から改善) | ✅ 40%超 |
| 営業CF | +3,398億→+3,760億 | ✅ 潤沢 |
| 現金等 | 4,516億→5,923億 | ✅ 増加 |
| 配当推移(調整後) | 56.67円→60円→70円→75円(予) | ✅ 増配再開・加速 |
| 配当性向 | 2026/3期 30.1%(予 35.3%) | ✅ 健全 |
※上記はアイシンの2026年3月期決算短信(原本)で確認した数値です。同社は2024年10月に1株を3株にする株式分割を実施しており、配当・EPSは調整後で表記しています。
評価のポイント
アイシンは、財務の中身が非常に良い銘柄です。配当性向は30.1%と低めで増配の余力が大きく、自己資本比率も48.8%へ改善。営業CFは3,760億円と潤沢で、手元現金も積み上がっています。EPSも232.64円まで急回復し、配当は56.67円→75円(予)へと増配を加速させています。
惜しいのは2点。営業利益率が4.5%と5%未満であること(ただし改善中)、そして配当利回りが税引後2.63%と、私の目安「税引後3%」にわずかに届かないことです。
ただ、ここで思い出したいのが第1弾・豊橋編のサーラコーポレーションの話です。利回りは「配当金 ÷ 株価」で決まるため、株価が下がれば利回りは上がります。財務が健全で増配を続けているアイシンのような企業なら、市場が調整局面に入って株価が下がったときこそ、税引後3%を超える「買い場」になり得ます。

「いま利回りが基準に届かない=ダメ」じゃないんだ。財務が良い会社をウォッチしておいて、株価が下がったときに拾う。豊橋のサーラと同じ考え方だね
そもそも証券口座をまだ持っていない、銘柄の選び方から知りたいという方は、先に基礎を押さえておくとスムーズです。証券会社選び・始め方は高配当個別株投資の始め方|初心者におすすめの証券会社と銘柄の選び方を実体験で解説でまとめています。
ウォッチリスト3社|あと一歩で本命に届かない銘柄
続いて、利回りは魅力的でも財務面に引っかかりがあり、「今すぐ本命」とは言いにくい3社です。それぞれ本命に昇格する条件もあわせて示します。
トヨタ紡織【3116】 🟡 増配再開を待ちたい
トヨタ紡織は、自動車のシートや内装を手がけるトヨタグループの企業です。配当利回りは税引前3.99%・税引後約3.18%と、数字だけ見ればデンソー並みに魅力的です。
| 指標 | 数値 | 判定 |
|---|---|---|
| 配当利回り(予・2027/3期86円) | 税引前3.99% / 税引後約3.18% | ✅ 高水準 |
| EPS | 78.57円→311.74円→93.65円→130.30円 | 🔴 変動が激しい |
| 営業利益率 | 4.1%→2.2%→2.6%(予 3.8%) | 🔴 5%未満で低迷 |
| 自己資本比率 | 41.0% | ✅ 40%ライン上 |
| 配当推移 | 45円(2021減配)→64→70→86→86…→86円(予) | 🟡 減配歴あり・4期据え置き |
| 配当性向 | 2026/3期 66.0%(直近は変動大) | 🔴 やや高め・不安定 |
引っかかるのは、①2021年(コロナ期)に減配した履歴があること、②配当86円が4期連続で据え置かれ増配が止まっていること、③営業利益率が2%台と低迷していること、④EPSの変動が大きく配当性向が年により27%台から90%超まで振れて不安定なこと、の4点です。
昇格条件:2027年3月期予想の営業利益率3.8%への回復が実現し、据え置きが続く配当が増配へ転じることが確認できれば、本命候補に格上げを検討します。
ジェイテクト【6473】 🟡 配当性向100%超の解消を待ちたい
ジェイテクトは、旧・光洋精工と旧・豊田工機が統合して生まれたトヨタグループの企業で、ステアリング(操舵)システムやベアリングを手がけます。利回りは税引前3.51%と3%を超えています。
| 指標 | 数値 | 判定 |
|---|---|---|
| 配当利回り(予・2027/3期70円) | 税引前3.51% / 税引後約2.80% | ✅ 3%超 |
| EPS | 2026/3期 37.62円(配当60円を大きく下回る) | 🔴 利益が配当に追いつかず |
| 営業利益率 | 3.3%→2.0%→1.3%(予 4.0%) | 🔴 低下傾向・低水準 |
| 自己資本比率 | 47.3% | ✅ 40%超 |
| 配当推移 | 36円→50円→60円→70円(予) | 🟡 増配中だが裏付けが弱い |
| 配当性向 | 2025/3期 123.9%→2026/3期 159.5% | 🔴 2期連続100%超(タコ足気味) |
増配を続け利回りも3.5%ある一方で、最大の懸念は配当性向が123.9%→159.5%と2期連続で100%を超えている点です。これは利益(EPS37.62円)を超える額を配当(60円)に回している状態で、いわゆる「タコ足配当」気味。営業利益率も1.3%まで低下しており、現状のままでは配当の持続性に黄信号が灯っています。
昇格条件:2027年3月期予想の利益回復(営業利益率4.0%への改善)が実現し、配当性向が利益の範囲内(おおむね50%前後)に戻ることが確認できれば、見直したい銘柄です。
※ジェイテクトの自己資本比率は情報源により47.3%・48.4%と表記の差があります。最新の確定値は同社IR・決算短信でご確認ください。
アスカ【7227】 🟡 自己資本比率の改善を待ちたい(厳格運用なら除外)
アスカは、自動車向けプレス部品や制御盤を手がける企業で、名証メイン市場に単独上場しています。利回りは税引前ちょうど3.00%、配当性向も20%前後と低く、増配の余力自体はあります。
| 指標 | 数値 | 判定 |
|---|---|---|
| 配当利回り(予・2026/11期54円) | 税引前3.00% / 税引後約2.39% | 🟡 ぎりぎり3% |
| 自己資本比率 | 約31.9%(※要確認) | 🔴 40%未満 |
| 営業利益率 | 約3.8%(※要確認) | 🔴 5%未満 |
| 配当推移 | 38→60→45円(2024減配)→54→54円(予) | 🔴 減配歴あり |
| 配当性向 | 2025/11期 20.2%(安定) | ✅ 低位 |
| 流動性 | 名証メイン単独・時価総額約79億円 | 🔴 低流動性 |
懸念点が複数あります。自己資本比率が約31.9%と基準の40%を下回ること、営業利益率が5%未満であること、2024年11月期に減配した履歴があること、そして名証単独上場で時価総額約79億円と流動性が低いことです。
第2弾・名古屋編では、複数の基準を同時に満たさない銘柄は除外という運用をしました。アスカも「自己資本比率40%未満+営業利益率5%未満」と2つの基準に届いていないため、厳格に運用するなら除外でも妥当です。本記事ではウォッチに留めますが、新規購入には慎重さが必要な1社です。
昇格条件:自己資本比率が40%以上へ改善し、減配のない安定配当が続くことが確認できれば見直し対象です。
※アスカの自己資本比率・営業利益率は検索ベースの概算値で、情報源により数値にばらつきがあります。本文の数値は参考程度とし、正確な値は同社IRでご確認ください。
除外銘柄|三和油化工業
最後に、今回「高配当株」というテーマから外れた1社です。
| 銘柄 | コード | 利回り | 除外理由 |
|---|---|---|---|
| 三和油化工業 | 4125 | 1.91% | 増配基調の優良成長株だが、利回りが2%未満で高配当の水準にない |
三和油化工業は、産業廃棄物のリサイクルや溶剤の再生を手がける化学企業で、2021年に上場しました。配当性向は20%前後と低く、自己資本比率も56.8%(中間時点)と健全で、純利益は前期比+40.3%へ上方修正されるなど、企業としては優良な成長株です。
ただ、配当利回りが税引前1.91%では、今回のテーマ「税引後3%以上」からは明確に対象外。豊橋編の物語コーポレーションと同じく、「会社は良いが高配当ではない」という理由での除外です。成長株として配当度外視で見るなら、注目に値する銘柄ではあります。
注意点:トヨタ城下町ならではの「集中リスク」
刈谷の銘柄を語るうえで、豊橋・名古屋編にはなかった刈谷固有の注意点を1つお伝えします。それはトヨタへの集中リスクです。
今回の本命2社(デンソー・アイシン)も、ウォッチ3社のうち2社(トヨタ紡織・ジェイテクト)も、いずれもトヨタグループの企業です。つまり、これらの銘柄を集めると業績がトヨタ自動車の動向に強く連動します。具体的には、次のような要因の影響を同時に受けやすくなります。
- トヨタの生産・販売台数:トヨタが減産すれば部品各社の業績も同時に下押しされる
- EV化の波:エンジン関連部品の比率が高い企業は、電動化の進み方に影響を受けやすい
- 円相場:輸出比率が高いため、為替の振れが各社にまとめて効く

地元だから、つい刈谷の会社ばっかり集めたくなっちゃうけど…それだと偏っちゃうのか

そうなんだ。地元応援はロマンがあるけど、投資の基本はあくまで分散。トヨタ系は他業種の高配当株や、全世界株などのインデックスと組み合わせて、ポートフォリオ全体でバランスを取るのがおすすめだよ
地元企業を応援する投資は、長期保有のモチベーションになる素晴らしい考え方です。ただ、刈谷のようにトヨタ系が集中する街では、同じグループの銘柄ばかりに偏らないことを意識しておきましょう。業種の違う高配当株や、全世界株式・全米株式のインデックスと組み合わせて、ポートフォリオ全体で分散を効かせるのが安心です。
まとめ:刈谷からの結論は2社
ここまで分析した刈谷の上場6社を、もう一度まとめておきます。
| 銘柄 | コード | 利回り(税引前/税引後) | 結論 | 主な理由 |
|---|---|---|---|---|
| デンソー | 6902 | 3.99% / 約3.18% | 🟢 優良 | 7指標ほぼ満点。自己資本比率約63%・営業利益率7%台・連続増配・DOE方針 |
| アイシン | 7259 | 3.30% / 約2.63% | 🟢 優良 | 配当性向30%・財務健全・増配加速。税引後利回りは株価調整時が買い場 |
| トヨタ紡織 | 3116 | 3.99% / 約3.18% | 🟡 ウォッチ | 利回りは魅力だが減配歴・増配停止・利益率低迷。増配再開待ち |
| ジェイテクト | 6473 | 3.51% / 約2.80% | 🟡 ウォッチ | 配当性向2期連続100%超。利益回復と配当持続性の改善待ち |
| アスカ | 7227 | 3.00% / 約2.39% | 🟡 ウォッチ | 自己資本比率40%未満・減配歴・低流動性。厳格運用なら除外も可 |
| 三和油化工業 | 4125 | 1.91% | ⚫ 除外 | 優良成長株だが利回りが高配当の水準にない |
刈谷市の上場6社(+上場廃止した豊田自動織機)のうち、優良高配当株として残ったのはデンソーとアイシンの2社でした。トヨタ城下町の本丸らしく、いずれも財務基盤の強い銘柄が顔をそろえています。一方で、利回りが高くても財務に不安が残る銘柄や、会社は良くても利回りが届かない銘柄もあり、利回りの数字だけで選ばないことの大切さがあらためて確認できました。
- 本命はデンソー(7指標ほぼ満点)とアイシン(財務健全・株価調整時が買い場)の2社
- ウォッチはトヨタ紡織・ジェイテクト・アスカ。それぞれ昇格条件あり
- 利回りの高さだけでなく、配当を払い続ける財務体力をチェックする
- トヨタ系に偏りすぎず、他業種やインデックスと組み合わせて分散する
「自分も地元や気になる企業の高配当株を始めてみたい」という方は、まず証券口座を用意するところからです。手数料無料・1株から買えるネット証券の選び方や、銘柄選びの基本は、こちらのまとめ記事で解説しています。
👉 証券会社選び・始め方はこちら:高配当個別株投資の始め方|初心者におすすめの証券会社と銘柄の選び方を実体験で解説
【愛知シリーズ】第1弾・第2弾もあわせてどうぞ
このシリーズでは、愛知県内の市町村ごとに、地元の上場企業を財務7指標で全件分析しています。刈谷編とあわせて読むと、地域による「高配当株の当たり外れ」の違いが見えてきます。

豊橋は4社中1社、刈谷は6社中2社。同じ愛知でも街によって結果が全然ちがうんだ。次回の【愛知シリーズ第4弾】もお楽しみに!
ふるさとや身近な企業を応援する気持ちは、長期投資との相性がとても良いものです。財務をしっかり見極めたうえで、地元の優良企業を応援しながら配当を受け取る――そんな投資ライフを、ぜひ一緒に楽しんでいきましょう。以上、参考になれば幸いです。
⚠️ 免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定銘柄への投資を推奨・勧誘するものではなく、投資助言でもありません。本文中の財務数値・配当利回りは2026年6月12日時点のWeb調査(Yahoo!ファイナンス、各社決算短信・IR、検索結果)に基づく参考値であり、株価の変動により利回りは日々変化します。一部の数値(自己資本比率・営業利益率・過去の配当履歴など)は情報源により差異がある場合があるため、最新かつ正確な情報は必ず各社IR・決算短信・IR BANK等の一次資料でご確認ください。投資は必ずご自身の判断と責任のもとで行ってください。
参考動画①:両学長リベラルアーツ大学「【初心者向け】高配当株の『分析ツール』の使い方をカンタン解説(第130回)」
https://www.youtube.com/watch?v=Puu4fIqr8d8
参考動画②:両学長リベラルアーツ大学「リベ大流『高配当株投資』の銘柄選びの大前提5選(第239回)」
https://www.youtube.com/watch?v=Uz3PwW5L9w4
参考:各社IR・決算短信/IR BANK(https://irbank.net/)/日本経済新聞(豊田自動織機の上場廃止報道)

