「老後のお金、結局いくらあれば安心なんだろう」——貯蓄を頑張っているのに、不安だけが消えない。そんな方にお伝えしたいのが、ライフプラン表の自作です。私は2012年から14年間、自分のライフプラン表をエクセルでつけ続けてきました。この記事では、14年続けてわかった効果と作り方を紹介し、私の表の設計をもとにした無料テンプレートを配布します。

「老後2,000万円問題」とか聞くたびに不安になるの。うちは足りるのかな…って。でも何から手をつければいいのか分からなくて。

結論から言うと、「いくらあれば安心か」の答えは人によって全部違う。だから世間の平均を調べても不安は消えないんだ。自分の答えは、自分の数字でしか出ない。それを見えるようにする道具が、ライフプラン表だよ。
私は普段、50代からの高配当株投資やNISAについて書いていますが、じつはそれらの投資判断の土台には、いつもこのライフプラン表があります。いまはお金を学ぶコミュニティで、ライフプランをテーマにしたオフ会を月1回ほど主宰していて、同世代の方の悩みを毎月生で聞いています。そこで感じるのは、「作った人から順に、不安の質が変わっていく」ということです。
結論:不安は、数字にすると小さくなる
ライフプラン表とは、家族の年齢・収入・支出・資産を「1年1列」で横に並べ、これから何十年かを1枚で見渡す表です。難しい知識は要りません。エクセルが少し使えれば自作できますし、この記事の最後に、私の14年分の改良を反映した無料テンプレート (60年分・数式入り) を置いておきます。
14年続けてきた実感として、効果は3つあります。
① 漠然とした不安が「数字の課題」に変わる。 課題になれば、対策が打てます。
② 人生の大きなお金の判断に、自分の軸ができる。 住宅・保険・投資——迷ったら表に聞けばいい。
③ 年1回の「答え合わせ」が、人生の習慣になる。 計画は外れます。外れていいのです。

14年つけ続けてわかった、3つのこと
その1:不安の正体は「知らないこと」だった
作る前の私は、老後のお金が漠然と怖いだけでした。ところが2012年、初めて自分の収入と支出を人生80年分まで並べてみたとき、意外な感覚に包まれました。「なんだ、問題はここと、ここだけか」。不安の正体は、お金が足りないことではなく、いつ・いくら足りないのかを知らないことだったのです。表の上で「預金が細る年」が特定できれば、それは恐怖ではなく、締切のある課題になります。課題なら、10年かけて対策できます。
その2:大きな判断で、迷わなくなった
ライフプラン表は「未来の家計簿」なので、大きな判断の影響を先に試せます。保険を見直したらどうなるか。固定費を削ったら残りの人生でいくら変わるか。投資を始めたら資産の線はどう変わるか——数字で答えが返ってきます。
私自身の転機は、2016〜2017年ごろに表を「人生80年」から「人生100年」へ引き直したときでした。80歳までなら何とか逃げ切れて見えた計画が、100歳まで延ばしたとたん、後半の資産の線が細っていく。投資の必要性が、誰かの意見ではなく自分の数字として迫ってきたのです。これが2019年、45歳からの投資開始につながり、のちに46歳で資産運用の計画を立て、51歳で検証する流れになりました。表がない判断は「えいや」になりますが、表がある判断は「試してから」になります。この差は、金額にすると本当に大きい。
その3:計画は外れる。だから毎年直す
正直に言うと、14年前に作った表の数字は、ほとんど当たっていません。想定外の出費も、コロナ禍もありました。それでも表を捨てなかったのは、ライフプラン表は「予言」ではなく「羅針盤」だと気づいたからです。年に1回、実績で数字を置き換え、線を引き直す。すると「ズレたこと」自体が情報になります。私はこの年1回の答え合わせを14回やってきました。オフ会でもお伝えするのですが、完璧な表を作ろうとしなくていい。雑でも、続いている表がいちばん強いのです。

50代からでも遅くない。むしろ精度が出る
「もっと若いうちに作るべきだった」と思われるかもしれません。でも、40代・50代から作るライフプラン表には、若い人にはない強みがあります。人生後半は、表の精度が上がるのです。残りの勤続年数は数えられます。退職金の見当もつき始め、ねんきん定期便には年金額が載っています。20代の表は夢を描くスケッチですが、50代の表は等身大の設計図になります。
そして50代には、退職金・年金開始・住宅ローン完済・子の独立という「お金の地形が大きく変わるイベント」が数年おきに控えています。この地形を1枚で見渡せているかどうかが、配当金の使い道や50代からの投資のような判断の質を決めます。私がいつも書いている「そのお金を、何年後に、何に使いたいか」という問いは、じつはライフプラン表を見ながら答える問いなのです。
無料テンプレート|60年分・数式入り (もしもシートつき)
私の表の設計を、どなたでも使える形にした無料テンプレートです。登録などは不要で、下のリンクからダウンロードできます。
Excel形式 (.xlsx) ・約18KB・登録不要でそのまま使えます
中身は3シートです。
- ライフプラン表:横60年分。家族の年齢が自動で進み、収入 (給与・配当金・年金・退職金) と支出、資産の推移を数式が計算します。40代の方が100歳まで見渡せる長さにしてあります。
- もしもシート:万一のときの遺族年金をねんきん定期便の数字から簡易計算し、必要保障額のめやすを出します。保険を「なんとなく」で持たないための道具です。
- 使い方:青い文字のセルを自分の数字に置き換えるだけ。3ステップの説明つきです。
使い方のコツはひとつだけ。最初から正確に埋めようとしないことです。ざっくりの数字で60年をつなげてしまい、「預金が細る年はどこか」だけ先に見る。細かい精度は、年1回の更新で少しずつ上げていけば十分です (私も14年かけて今の形になりました) 。

※テンプレートは情報提供を目的とした簡易シミュレーションです。計算結果の正確性を保証するものではなく、年金額などの正確な確認はねんきんネット・年金事務所をご利用ください。また、特定の保険商品や金融商品への加入・投資を推奨するものではありません。

完璧じゃなくていいんだ。ざっくりでも60年つなげて、「危ない年」を先に見つける。あとは年1回直していけばいいのね。それなら私にもできそう。

そう、それで十分。不安は、放っておくと膨らむけど、数字にすると小さくなる。表を1枚作ることは、未来の自分と家族に地図を渡すことなんだ。
まとめ:ライフプラン表は、人生後半の羅針盤
- 「いくらあれば安心か」の答えは人それぞれ。自分の数字でしか、自分の不安は消せない。
- ライフプラン表の効果は3つ——①不安が数字の課題になる ②大きな判断に軸ができる ③年1回の答え合わせが習慣になる。
- 50代からは精度が出る。完璧を目指さず、ざっくり作って毎年直す。
ライフプラン表で「何年後に、いくら要るか」が見えたら、次はお金にその役割を割り当てる番です。目的と目標の立て方は資産運用の目的と目標の決め方に、固定費を削って計画の余力を作る話は固定費削減の記事にまとめています。あわせてどうぞ。
※本記事とテンプレートは運営者個人の実体験と考え方に基づく情報提供であり、投資助言・保険募集を行うものではありません。重要な判断の前には、年金事務所・税理士・FPなどの専門家にご確認ください。


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