「地元・岡崎の企業から高配当株を探したい」「利回りの高い銘柄に飛びついて失敗したくない」――地元銘柄を選ぼうとすると、そんなところでつまずきがちです。
結論から言うと、愛知県岡崎市の上場4社を財務7指標でチェックした結果、高配当株の候補に見えたのはCDSとフタバ産業の2社でした。ただし、どちらも「増配中だから安心」とは言い切れない“裏側”があります。この記事では、利回りの数字だけでなく配当を払い続ける体力(財務)と、過去の減配・無配の歴史まで掘り下げて、1社ずつ正直に検証します。
私自身、国内の高配当個別株を約90銘柄保有し、地元・愛知の企業も実際に分析してきました。【愛知シリーズ第5弾】として、豊橋・名古屋・刈谷・豊田に続き、今回は徳川家康ゆかりの城下町・岡崎市を取り上げます。読めば「増配中の銘柄をどう見極めるか」「景気敏感株とディフェンシブ株の違い」が分かります。

岡崎って家康の街だよね。利回り4%超の銘柄が2つもあるなら、買いってこと?

そこが今日のテーマ。利回りと”増配中”は確かに魅力的。でも財務と過去をのぞくと、それぞれ弱点が見えてくる。数字の裏まで一緒に見ていこう
結論:岡崎の高配当候補は2社、ただし”裏側”に注意
先に結論をまとめます。岡崎市の上場4社のうち、配当利回りが私の検討の入口(税引前3%以上)を超えていたのはCDSとフタバ産業の2社でした。ただし財務まで踏み込むと、買える水準にあるのはCDS(それも様子を見ながら少しずつ)だけで、フタバ産業は利益率の低さから投資対象外、というのが私の結論です。豆乳のマルサンアイは良い会社ですが高配当ではなく、スーパーのドミーは流動性の問題で対象外です。
| 銘柄 | コード | 業種 | 配当利回り | 結論 |
|---|---|---|---|---|
| CDS | 2169 | サービス(技術受託) | 税引前4.21%(税引後3.36%) | 🟢 買える水準(様子見で少しずつ) |
| フタバ産業 | 7241 | 自動車部品 | 税引前4.70%(税引後3.74%) | ⚫ 除外(利益率が低く投資対象外) |
| マルサンアイ | 2551 | 食品(豆乳・味噌) | 税引前0.85%(税引後0.68%) | ⚫ 除外(高配当ではない) |
| ドミー | 9924 | 小売(スーパー) | ―(低流動性) | ⚫ 除外(投資対象になりにくい) |
※株価は2026年6月12日の終値、配当は各社IR(決算短信)の会社予想に基づく概算です。税引後は所得税15.315%+住民税5%(NISA口座外)を考慮した概算で、株価により利回りは日々変動します。私が検討対象とする”入口”は「税引前3%以上」の配当利回りで、そのうえで財務の健全性・配当の安定性(減配耐性)・成長性・株主還元方針・セクター分散を総合して判断します。「税引後3%以上」は保有する高配当株全体(ポートフォリオ)で目指す目標です。
表のとおり、利回りだけならフタバ産業の4.70%が最高です。ところが配当の”中身”と過去を見ると、単純に「利回りが高い順」では選べない――その理由が、この記事の肝になります。
岡崎市に本社を置く上場企業は4社|自動車・サービス・食品・小売
愛知県岡崎市は、人口約38万人。徳川家康の生誕地として知られる、西三河エリアの中核市です。八丁味噌をはじめとする食文化と、トヨタグループにつながるものづくりが共存する街です。
2026年6月時点で、岡崎市に本社を置く現役の上場企業は次の4社です。豊橋・刈谷・豊田が「自動車一色」だったのに対し、岡崎は業種がバラけているのが特徴です。
| 社名 | コード | 市場 | 事業 | 分類 |
|---|---|---|---|---|
| フタバ産業 | 7241 | 東証プライム+名証プレミア | 自動車の排気・車体部品 | 景気敏感株 |
| CDS | 2169 | 東証スタンダード | 技術ドキュメント・設計受託 | 景気敏感株(受託) |
| マルサンアイ | 2551 | 名証メイン | 豆乳・味噌などの食品 | ディフェンシブ株 |
| ドミー | 9924 | 名証メイン | 食品スーパー | ディフェンシブ株 |
面白いのは、高配当の2社(フタバ・CDS)が景気の波を受けやすい「景気敏感株」で、景気に左右されにくい「ディフェンシブ株」(食品・小売)は低利回り、という構造です。これは岡崎を読み解くカギになるので、後ほど詳しく触れます。
選定基準:財務7指標+「減配耐性」を重視する
銘柄を選ぶ前提として、今回も私が普段から参考にしているリベ大両学長の動画を2本ベースにしています(基準は参考にしつつ、最終的な採否はすべて私自身の判断です)。財務7指標(配当利回り・配当性向・自己資本比率・営業利益率・EPS・営業CF・増配/減配歴)に加え、今回は特に次の「減配耐性」を重視しました。
- 景気敏感株かディフェンシブ株か:景気敏感株は不況期に利益・配当が落ちやすい
- 連続増配・減配/無配歴:過去に減配・無配がなかったか(実績で判断)
- 自己資本比率・配当性向の余力:減益でも配当を維持できる体力があるか
- EPS・営業CFの安定性:配当の”原資”がブレていないか

今回のキーワードは「増配中=買い、ではない」。増配トレンドは確かに良い材料。でも、不況が来たときに配当を守れるかは別問題。そこを自己資本と過去の実績で確かめるのが大事なんだ
CDS【2169】|本命候補:自己資本80%の”鉄壁”だが、利益はブレる
CDSは、製造業向けに技術ドキュメント(取扱説明書・設計資料)の制作や設計受託を手がける、岡崎発のサービス企業です。岡崎の4社で最も財務が強く、私が「(様子を見ながら少しずつなら)買ってもよい水準」と考える1社です。
| 指標 | 数値 | 判定 |
|---|---|---|
| 配当利回り(予・2026/12期74円) | 税引前4.21%(税引後約3.36%) | ✅ 入口クリア(税引前3%超) |
| 自己資本比率 | 約80.4% | ✅ 鉄壁 |
| 株主還元方針 | 長期的に安定配当の維持を掲げる | ✅ 安定配当の方針 |
| 営業利益率 | 7.8%(前期)→10.5%(予) | 🟡 回復見込みだが変動大 |
| 配当推移 | 36円→…→78円→74円(維持) | 🟡 長期増配だが直近は微減・据置 |
| 配当性向の余力 | EPS66.9円に対し配当74円 | 🟡 減益時はやや窮屈 |
最大の魅力は自己資本比率が約80%という鉄壁の財務です。借金にほとんど頼らず、現金的な余裕が大きい。実際、2025年12月期は受注減で営業利益が前期比マイナス約54%の大減益に見舞われましたが、それでも年間配当74円を維持しました。減益でも配当を守れたのは、この厚い自己資本があってこそ。減配耐性という点では、岡崎で頭一つ抜けています。
- 利益のブレが大きい:受託サービス業は案件次第。2025年は営業利益が半減し、配当も78→74円へ微減した
- 配当性向が窮屈な年も:減益の年はEPSを配当が上回りかねず、増配の持続力には注意
- 小型株:東証スタンダードの小型銘柄で、売買のしやすさ(流動性)は大型株に劣る
まとめると、CDSは①自己資本約80%の堅い財務、②長期的に安定配当を維持するという株主還元方針、③長年の増配実績がそろい、私は「買ってもよい水準」と考えています。利回り4.21%も入口を十分クリア。ただし利益が景気や受注でブレやすい点はあるので、一気に買うのではなく、様子を見ながら少しずつ買い増す――それが私のCDSとの向き合い方です。株価が下がった局面ほど、利回りが高まり狙い目になります。
フタバ産業【7241】|利回り4.70%でも投資対象外|利益率の低さが決め手
フタバ産業は、マフラー(排気系)や車体部品を手がける、トヨタ向け中心の自動車部品メーカーです。岡崎の4社で配当利回りが最も高く、近年は増配が続いています。数字の表面はとても魅力的です。
| 指標 | 数値 | 判定 |
|---|---|---|
| 配当利回り(予・2027/3期45円) | 税引前4.70%(税引後約3.74%) | ✅ 4社で最高 |
| 自己資本比率 | 41.5% | ✅ 健全圏 |
| 営業利益率 | おおむね1〜3%(直近2026/3期 約2.8%) | 🔴 非常に低い=投資対象外の決め手 |
| 配当性向 | 2026/3期 約24% | ✅ 増配余力は大きい |
| 営業CF | +386億円 | ✅ 潤沢 |
利回り4.70%、4期連続増配(38→43→45円予)、配当性向は約24%と低く増配の余力も大きい――ここだけ見れば優良に見えます。ところが、IR Bankで過去をたどると景色が変わります。
- 2013年に無配の過去:リーマンショック後の業績悪化で、一時は配当ゼロに沈んだ歴史がある
- 景気敏感株の典型:トヨタの生産・設備投資に連動。不況・円高・減産がそのまま業績を直撃する
- 営業利益率が1〜3%と非常に低い:自動車部品はもともと薄利で、本業の稼ぐ力が弱い。景気が悪化すると利益が一気にしぼみ、配当の原資も細る
つまりフタバ産業は、利回りは高く増配中でも、本業の営業利益率が1〜3%と非常に低い銘柄です。薄利ゆえに不況時は利益が一気にしぼみやすく、実際に2013年には無配へ沈んだ過去があります。累進配当を宣言しているわけでもありません。「本業でしっかり稼げているか」という一点で、私はフタバ産業を投資対象から外します。自己資本41.5%・営業CF潤沢と足元の財務は悪くないものの、利回りの高さに釣られず、本業の利益率と過去の実績まで見極める大切さを教えてくれる1社でした。
マルサンアイ【2551】・ドミー【9924】|除外の理由
残る2社は、いずれも景気に左右されにくい「ディフェンシブ株」ですが、高配当株としては対象外でした。
| 銘柄 | コード | 除外理由 |
|---|---|---|
| マルサンアイ | 2551 | 豆乳業界2位の優良な食品メーカーで、財務も安定。だが配当利回りが税引前0.85%(税引後0.68%)で、入口(税引前3%)に遠く届かず高配当ではない |
| ドミー | 9924 | 地元密着の食品スーパー。名証メインの小型株で売買がきわめて少なく(低流動性)、株式併合の影響で配当データも安定せず、現実的な投資対象になりにくい |
とくにマルサンアイは、豆乳・味噌で知られる立派なディフェンシブ企業です。配当性向も約22%と無理がなく、会社としては優良。ただ「高配当株」というテーマでは、利回りが低すぎて対象になりません。良い会社=高配当株、ではない――この見極めも、銘柄選びでは大切です。

安定してる食品の会社は配当利回りが低くて、利回りが高いのは景気で揺れる会社…なんだか悩ましいね
岡崎の学び:高配当は「景気敏感」に偏りがち。だから分散
岡崎を分析して見えたのは、「高い配当利回りは、景気で揺れやすい業種に集中しやすい」という構造でした。岡崎で利回りが高かった2社(CDS・フタバ産業)は、受託サービスと自動車部品。どちらも景気の波を受けます。一方、景気に強いディフェンシブな食品(マルサンアイ・ドミー)は、利回りが低かったり流動性に欠けたりして、高配当投資には組み込みにくい。

だから高配当株は、景気敏感に偏りやすいことを意識して、業種の違う銘柄や全世界株などのインデックスと組み合わせて分散するのが大事。たとえ良い高配当株でも、自分のポートフォリオが景気敏感に寄りすぎているなら”今は買わない”判断もありだよ
愛知シリーズ(豊橋・名古屋・刈谷・豊田・岡崎)は、構造的に自動車や景気敏感セクターへ偏りやすい地域です。地元企業は「ポートフォリオの1ピース」として、業種の違う高配当株や全世界株式・全米株式のインデックスと組み合わせ、セクター比率を見ながら少量ずつ――が安全です。インデックスとの組み合わせはSBI・V VTIと楽天VTIの実証比較もどうぞ。
まとめ:岡崎の高配当候補は2社、見るべきは”裏側”
- 入口(税引前3%)を超えたのはCDS・フタバ産業の2社。ただし買える水準にあるのはCDSのみ
- CDS:自己資本80%+長期安定配当の方針+増配実績で買える水準。利益はブレるので、積極的にではなく様子を見ながら少しずつ
- フタバ産業:利回り4.70%&増配中だが、営業利益率1〜3%と本業の稼ぐ力が弱く投資対象外。2013年無配・景気敏感も重なる
- マルサンアイ:豆乳2位の優良ディフェンシブだが利回り0.85%で高配当ではない(除外)
- 「増配中=買い」ではない。自己資本・配当性向の余力・本業の利益率・過去の減配/無配で「減配耐性」を見る
岡崎は、業種がバラけているぶん「景気敏感とディフェンシブ」「利回りと安定性」のトレードオフが鮮明に出た街でした。高配当株は、利回りの数字ではなく「配当を払い続ける力(財務)」と「自分のポートフォリオ全体のバランス」で選ぶ――その原則を、あらためて確認できる結果です。
「自分も高配当株を始めてみたい」という方は、まず証券口座と銘柄の選び方から。手数料無料・1株から買えるネット証券の選び方は、こちらのまとめ記事で解説しています。
👉 証券会社選び・始め方はこちら:高配当個別株投資の始め方|初心者におすすめの証券会社と銘柄の選び方を実体験で解説
【愛知シリーズ】第1〜4弾もあわせてどうぞ
- 【豊橋発】高配当株はこの1社|上場4社を財務7指標で徹底分析(第1弾)
- 【名古屋発】高配当株はこの6社|配当利回り3%超の優良銘柄を厳選(第2弾)
- 【刈谷発】高配当株はこの2社|トヨタグループ城下町の優良銘柄を全件チェック(第3弾)
- 【豊田発】トヨタ城下町に高配当の優良株はあるか?上場4社を財務7指標で検証(第4弾)

豊橋は4社中1社、名古屋は6社、刈谷は6社中2社、豊田は4社中ゼロ、岡崎は4社中、買える水準は実質1社(CDS)。同じ愛知でも街によって全然ちがう。地元分析は奥が深いよ
ふるさとや身近な企業に目を向ける投資は、長期保有のモチベーションになります。ただし「地元だから」で財務やセクターの偏りに目をつぶらないこと。財務と配当の実績をしっかり見極めて、納得できる銘柄だけを選んでいきましょう。以上、参考になれば幸いです。
⚠️ 免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定銘柄への投資を推奨・勧誘するものではなく、投資助言でもありません。なお運営者は投資助言業者・金融商品仲介業者ではなく、本記事は個人の実体験に基づく情報提供です。本文中の株価は2026年6月12日の終値(Yahoo!ファイナンス)、配当は各社IR(決算短信)の会社予想に基づく参考値であり、株価変動により利回りは日々変化します。過去の財務・配当推移はIR BANKを参照しました。最新かつ正確な情報は必ず各社IR・決算短信等の一次資料でご確認ください。投資は必ずご自身の判断と責任のもとで行ってください。
参考動画①:両学長リベラルアーツ大学「【初心者向け】高配当株の『分析ツール』の使い方をカンタン解説(第130回)」
https://www.youtube.com/watch?v=Puu4fIqr8d8
参考動画②:両学長リベラルアーツ大学「リベ大流『高配当株投資』の銘柄選びの大前提5選(第239回)」
https://www.youtube.com/watch?v=Uz3PwW5L9w4
参考:各社IR・決算短信(フタバ産業7241・CDS2169・マルサンアイ2551・ドミー9924)/IR BANK(https://irbank.net/)/Yahoo!ファイナンス(株価・2026年6月12日終値)

