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【退職金が先】50代で入ったiDeCoの受け取り方|19年ルール

50代で入ったiDeCo、退職金が先なら控除の額まで一時金、残りは65歳になる前に年金で 50代の資産形成

先日、ライフプランを考えるオフ会で、こんな相談を受けました。50歳を過ぎてからiDeCoに入りました。会社の定年は60歳で、退職金を先に受け取ることになるので、iDeCoの受け取りには税金がかかる可能性が高いと聞きました。iDeCoはどう受け取ればいいのですか。

この順番だと、iDeCoを一時金で受け取るときの控除が縮小されることがあります。「19年ルール」と呼ばれる決まりがあるためです。どこまで縮小されるかは会社の退職金と勤続年数しだいで、控除の最低額は80万円です。一方で、年金だけで受け取ると、65歳からの公的年金と重なって、税金が一時金で受け取る場合とあまり変わらないこともあります。

この記事では、国税庁の資料をもとに、一時金・年金・併用の3つを同じ条件で比べました。結論は、iDeCoに残る控除の額までを一時金、残りは65歳になる前に年金で受け取る形です。公的年金を遅らせれば、税金をゼロにする方法もあります。

この記事で分かること
  • 退職金が先だと、iDeCoの控除が縮小される理由と、縮小される額を決める条件
  • 50代で入ると受け取り開始が61歳以降になること
  • 一時金・年金・併用の税金の比べ方
  • 60歳以降の働き方と公的年金で変わる判断
みらい
みらい

iDeCoって、受け取るときも税金が優遇されるんじゃないの?

たく
たく

優遇はあるよ。ただ、退職金を先にもらう人は、その優遇がかなり小さくなるんだ。順番に説明するね。

  1. 結論|控除の額までは一時金で残りは年金
    1. 一時金の控除は80万円まで縮小されることがある
    2. 年金だけでは税金があまり減らない
    3. 65歳になる前に受け取り終える
  2. 50代で入ると受け取りは61歳以降
    1. 加入期間で決まる受け取り開始の年齢
    2. 受け取りは75歳までに始める
    3. 遅らせても19年は空けられない
  3. 退職金が先だと一時金の控除が縮小される
    1. 対象になるのはiDeCoを一時金で受け取る年
    2. 重なる期間の分を差し引く
    3. 差し引いても80万円は残る
    4. 退職金と勤続年数で計算上の重なる期間が変わる
  4. 年金で受け取るときの控除
    1. iDeCoの年金は公的年金等控除の対象
    2. 65歳の前と後で控除が変わる
    3. 公的年金と控除を分け合う
  5. 受け取り方を年齢ごとに比べる
    1. A. 一時金だけ
    2. B. 年金だけ (5年)
    3. C. 併用 (一時金80万円+年金5年)
    4. D. 併用+公的年金を66歳から
    5. E. 税金をゼロにする受け取り方
    6. F. 退職金が少ないと控除が残る
  6. 60歳以降の収入で変わる判断
    1. 再雇用で働くと税率が上がる
    2. 公的年金の繰下げと組み合わせる
    3. 手数料と住民税も確認する
  7. まとめ|控除を2つとも使い切る
  8. よくある質問
    1. Q1. 退職金の受け取りを遅らせることはできますか?
    2. Q2. iDeCoの一時金の控除はいくら残りますか?
    3. Q3. 年金は何年で受け取るのがよいですか?
    4. Q4. 60歳以降も掛金を出し続けられますか?
    5. Q5. 退職金が先の50代は、iDeCoに入るべきですか?

結論|控除の額までは一時金で残りは年金

先に結論です。退職金を先に受け取る人は、iDeCoのうち一時金の控除の額までを一時金、残りを65歳になる前に年金で受け取る形を軸に考えます。一時金だけ、年金だけ、どちらに寄せても税金が増えやすいからです。

理由は3つあります。一時金の控除が縮小されることがあること、年金は65歳から公的年金と控除を分け合うこと、そして65歳より前なら年金の控除をiDeCoだけで使えることです。順に見ていきます。

一時金の控除は80万円まで縮小されることがある

退職金を受け取った翌年から19年以内にiDeCoを一時金で受け取ると、会社の勤続期間と重なる期間の分だけ、iDeCoの控除が差し引かれます。50代で入った人は、iDeCoの加入期間のほとんどが会社の勤続期間と重なります。

どこまで縮小されるかは、会社の退職金の額と勤続年数で変わります。退職金が自分の控除に近い人ほど大きく縮小されますが、差し引いた結果が80万円を下回るときは、控除は最低額の80万円になります (出典:国税庁 令和8年分 源泉徴収のあらまし 第3 退職所得)。控除がゼロになるわけではありません。

年金だけでは税金があまり減らない

iDeCoを年金で受け取ると、公的年金と同じ控除 (公的年金等控除) の対象になります。65歳からは公的年金と1つの控除を分け合うので、重なった年はiDeCoの分がまるごと課税されやすくなります。

65歳になる前に受け取り終える

65歳より前は、公的年金がまだ始まっていない人がほとんどです。この期間なら、年60万円の控除をiDeCoの年金だけで使えます。一時金を控除の額に合わせ、残りを65歳までの年金で受け取ると、控除を2つとも無駄なく使えます。

たく
たく

私の場合は逆で、iDeCoが先、退職金が後なんだ。そちらの順番の話は10年ルールの記事にまとめているよ。

50代で入ると受け取りは61歳以降

iDeCoをいつから受け取れるかは、年齢ではなく加入していた期間で決まります。10年以上なら60歳から受け取れますが、50歳を過ぎて入った人は、60歳の時点で10年に届きません。

受け取りの開始が61歳以降になると、60歳で受け取る退職金よりも必ず後になります。加入期間と開始年齢の関係、受け取りを始められる期限、そして開始を遅らせたときの扱いを順に確認します。

加入期間で決まる受け取り開始の年齢

表1 加入した年齢と受け取りを始められる年齢

加入した年齢60歳までの加入期間受け取り開始
50歳まで10年以上60歳
51〜52歳8年以上10年未満61歳
53〜54歳6年以上8年未満62歳
55〜56歳4年以上6年未満63歳
57〜58歳2年以上4年未満64歳
59歳1年以上2年未満65歳

たとえば52歳で入ると、60歳までの加入期間は8年で、受け取りは61歳からです (出典:iDeCo公式 加入資格・掛金・受取方法)。加入した月と誕生月の関係で、1年ずれることがあります。

表1の「受け取り開始」の年齢は、「60歳までの加入期間」だけで決まります。60歳以降も加入して掛金を出し続けても、その期間は数えないので、受け取り開始の年齢は早まりません (出典:企業年金連合会 用語集 通算加入者等期間)。

この記事のモデル (加入8年) は当てはまりませんが、55歳以降に入って加入期間が5年以下になる人は注意が必要です。一時金が「短期退職手当等」として扱われるためです。控除を引いたあとの額が300万円を超えると、超えた部分は2分の1にする計算が適用されません (出典:国税庁 源泉徴収のあらまし 第3 退職所得)。

受け取りは75歳までに始める

受け取りを始める時期は、75歳になるまでの間で選べます。受け取り方は、一時金、年金 (5年以上20年以下)、その組み合わせの3つです。

遅らせても19年は空けられない

60歳で先に企業からの退職金を受け取った人が、控除の調整を避けるには、iDeCoを80歳以降に受け取る必要がありますが、75歳が受け取る期限なので、退職金が先の人は、調整を避ける方法がありません。受け取る時期ではなく、受け取り方で工夫することになります。

退職金が先のときの時間軸。60歳で会社の退職金、61歳からiDeCoの受け取り開始、61〜79歳が19年の範囲で、75歳の受け取り開始の期限はその中にある。範囲を出る80歳までiDeCoは待ってくれない
図1:60歳で退職金を受け取ると、iDeCoは75歳まで待っても19年の範囲から出られない。

退職金が先だと一時金の控除が縮小される

ここでは、一時金で受け取るときの控除がどう計算されるかを見ます。この決まりは19年ルールと呼ばれ、所得税法施行令第70条に定められています。

仕組みは、iDeCoの加入期間のうち、会社の勤続期間と重なる期間の分を、iDeCoの控除から差し引くというものです。どんな場合が対象になるか、どう差し引くか、控除の最低額の80万円、そして退職金と勤続年数による違いを順に説明します。

対象になるのはiDeCoを一時金で受け取る年

対象は、退職金を受け取った翌年から19年以内に、iDeCoを一時金で受け取る場合です (出典:国税庁 源泉徴収のあらまし 第3 退職所得)。年金で受け取る分は、この調整の対象になりません。

重なる期間の分を差し引く

表2 一時金で受け取るときの控除 (架空のモデル)

手順計算結果
1. iDeCoの加入期間で控除を出す40万円×8年320万円
2. 計算上の重なる期間で控除を出す40万円×8年320万円
3. 1から2を差し引く320万円−320万円0円
4. 80万円を下回るので控除の最低額にする控除の最低額80万円

モデルは、52歳でiDeCoに入り、60歳で定年退職 (勤続20年・退職金1,000万円) した人です。退職金は自分の控除 (40万円×20年=800万円) を超えています。iDeCoの8年はすべて会社の勤続期間 (40〜60歳) と重なり、計算上の重なる期間も8年なので、手順3で控除はゼロになります。計算上の重なる期間は1年未満を切り捨てて数えます。

差し引いても80万円は残る

手順4のとおり、差し引いた結果が80万円を下回るときは、控除は最低額の80万円になります。iDeCoを400万円受け取るなら、(400−80) ÷2=160万円が課税の対象です。

退職金と勤続年数で計算上の重なる期間が変わる

ここで、2つの「重なる期間」を区別します。iDeCoの加入期間と、実際に会社に勤めた期間が重なる年数を「実際に重なる期間」と呼びます。控除から差し引く計算に使う年数は「計算上の重なる期間」です。退職金が自分の控除額以上なら、2つは同じ年数になります。

会社の退職金が自分の控除額に届かない人は、計算に使う会社の勤続期間 (計算上の勤続期間) が、入社の日から数えて次の年数に短くなります。退職金が800万円以下なら「退職金÷40万円」年、800万円を超えるなら「(退職金−800万円) ÷70万円+20」年です。この計算上の勤続期間とiDeCoの加入期間が重なる年数が、計算上の重なる期間になります (出典:国税庁 源泉徴収のあらまし 第3 退職所得)。

表3 退職金と勤続年数で変わるiDeCoの控除 (52歳加入・60歳退職)
※マイナスは0、※※最低80万円

会社の勤続 (a) と退職金計算上の勤続期間 (b)実際に重なる期間 (c)計算上の重なる期間 (d) ※
d = c – (a – b)
iDeCoの控除※※
(8年 – d) × 40万円
20年・1,500万円20年8年8年80万円
20年・1,000万円20年8年8年80万円
20年・800万円20年8年8年80万円
20年・600万円15年8年3年200万円
20年・400万円10年8年0年※320万円
38年・2,200万円38年8年8年80万円
38年・1,000万円22年8年0年320万円

勤続20年は40歳入社、38年は22歳入社の方を想定しています。自分の控除は勤続20年なら800万円、38年なら2,060万円です。退職金がこの控除に近いか上回る人ほど、iDeCoの控除は80万円まで縮小されます。勤続が短い人ほど自分の控除が小さく、縮小されやすいということです。まず退職金の見込み額を会社で確認してください。

控除が縮小される仕組み。会社の勤続期間40〜60歳とiDeCoの加入期間52〜60歳が8年重なる。40万円×8年=320万円から320万円を差し引くと0円で、控除の最低額80万円になる
図2:計算上の重なる期間の分だけ、iDeCoの控除が差し引かれる。差し引いても最低額の80万円は残る。

年金で受け取るときの控除

一時金の控除が小さくなるなら、年金で受け取る方法があります。iDeCoの年金は公的年金等として扱われ、公的年金と同じ控除を使います。

ただし、この控除は65歳の前と後で大きさが変わり、65歳からは公的年金と分け合います。年金の扱い、年齢による控除の違い、そして公的年金と重なったときの影響を順に見ます。

iDeCoの年金は公的年金等控除の対象

国税庁の資料では、公的年金等に「確定拠出年金法に基づいて…個人型年金規約により老齢給付金として支給される年金」が含まれています (出典:国税庁 源泉徴収のあらまし 第4 公的年金等)。iDeCoを年金で受け取れば、この控除が使えます。

65歳の前と後で控除が変わる

表4 公的年金等控除の最低額 (他の所得が1,000万円以下の場合)

年齢年金の収入控除
65歳未満130万円以下60万円
65歳以上330万円以下110万円

65歳未満は年60万円までなら課税されません。iDeCoの年金を年60万円前後に抑えれば、ほとんど税金をかけずに受け取れます。

公的年金と控除を分け合う

65歳から公的年金が始まると、控除枠は公的年金とiDeCoの合計に対して1つだけです。公的年金だけで控除を使い切っている人は、iDeCoの年金がまるごと課税対象額に上乗せされます。

年金で受け取るときの控除の使い方。65歳になる前は控除60万円をiDeCoの年金53万円だけで使え税金0円。65歳から公的年金と重なると控除110万円は公的年金180万円で使い切り、iDeCoは全額が課税
図3:65歳より前は控除をiDeCoだけで使える。65歳からは公的年金と分け合う。

受け取り方を年齢ごとに比べる

同じモデルで、受け取り方を6つ比べます。52歳でiDeCoに入って加入8年、受取額は400万円です。A〜Eは、60歳で会社の退職金 (勤続20年・1,000万円) を受け取り、iDeCoは61歳から、公的年金は65歳から年180万円 (架空) の想定です。

勤続20年は、55〜59歳で働く人の勤続年数の中央値 (15〜19年の階級) をもとにしました (出典:厚生労働省 令和6年賃金構造基本統計調査 第2表)。退職金1,000万円は、勤続20〜24年の定年退職者 (大学・大学院卒) の平均1,021万円を基にしています。退職金は中央値が公表されていないため、平均を使っています (出典:厚生労働省 令和5年就労条件総合調査)。

税金は、61〜64歳は再雇用で働いて給与があり、65歳以降は年金だけという前提で計算しました。61〜64歳の年金と一時金には、所得税5%+復興特別所得税0.105%+住民税10%=15.105%がかかるとしています。65歳以降は、公的年金とiDeCoの年金を合わせた所得から基礎控除 (所得税104万円・住民税43万円) を引いて計算しました。金額はすべて架空で、税額は概算です。

表5 受け取り方ごとの「iDeCoで増えた税金」 (まとめ)

受け取り方61〜68歳の合計
A. 一時金だけ約24.2万円
B. 年金だけ (5年)約22.4万円
C. 併用 (一時金80万円+年金5年)約10.3万円
D. 併用+公的年金を66歳から約2.4万円
E. 併用 (年金6年) +公的年金を67歳から0円
F. 退職金600万円:併用+公的年金を66歳から0円

表の「税金」は会社の退職金と公的年金を含めた額で、「うちiDeCoで増えた税金」は、公的年金だけの場合との差です。公的年金180万円だけなら、所得は180−110=70万円で、所得税の基礎控除104万円 (合計所得489万円以下の場合) に収まるので所得税は0円、住民税は (70−43) ×10%=2.7万円です (出典:国税庁 No.1199 基礎控除総務省 個人住民税の基礎控除)。会社の退職金の税金は60歳の列にあります。退職所得は (1,000万円−800万円) ÷2=100万円で、15.105%をかけると約15.1万円になります。退職金600万円のFは、控除800万円に収まるので0円です。

年齢ごとの数字は、表6〜表11のとおりです。スマホでは表を横にスクロールできます。退職金とiDeCo一時金の所得 (c・i) と、年金の所得 (j) は、別々に課税されます。一時金は退職所得として他の所得と分けて、年金は雑所得として給与や公的年金と合わせて計算するためです。マイナスになる部分は0として数えます。年金は年2回 (6月と12月) に受け取る設定で、回数は年1回から毎月まで6通りから選べます (出典:楽天証券 iDeCoの給付)。

A. 一時金だけ

表6 一時金だけで受け取る場合

※税金 = (c + i) × 15.105% + 年金の所得 j にかかる税金。退職所得 (c・i) は他の所得と分けて課税され、このモデルでは所得税5% (195万円以下の区分) + 復興特別所得税0.105% + 住民税10%。61〜64歳の年金は再雇用の給与に上乗せされるものとして j × 15.105%。65歳以降は年金だけの収入として、所得税 = (j – 104万円) × 5.105%、住民税 = (j – 43万円) × 10% (マイナスは0)。社会保険料控除などは引いていないので、実際の税金はこれより少なくなります

単位:万円60歳61歳62歳63歳64歳65歳66歳67歳68歳
a. 会社の退職金1,00000000000
b. 退職金の控除80000000000
c. 退職金の所得 (退職所得)
c = (a – b) / 2
10000000000
d. iDeCo一時金04000000000
e. iDeCo年金 (年額)000000000
└ 1回の受取額 (6月・12月)000000000
f. 公的年金00000180180180180
g. 一時金の控除 (iDeCo)0800000000
h. 年金の控除 (e + f に対して)6060606060110110110110
i. 一時金の所得 (退職所得)
i = (d – g) / 2
01600000000
j. 年金の所得 (雑所得)
j = e + f – h
0000070707070
税金 (退職金・公的年金を含む) ※15.124.20002.72.72.72.7
うちiDeCoで増えた税金024.20000000

61歳:課税対象額は (400万円−80万円) ÷2=160万円です。税金は160万円×15.105%=約24.2万円 (所得税8万円+復興特別所得税1,680円+住民税16万円) です。

一時金 (退職所得) は給与と分けて課税されるので、再雇用の給与があっても税率は変わりません。

B. 年金だけ (5年)

表7 年金だけで受け取る場合 (5年)

※税金 = (c + i) × 15.105% + 年金の所得 j にかかる税金。退職所得 (c・i) は他の所得と分けて課税され、このモデルでは所得税5% (195万円以下の区分) + 復興特別所得税0.105% + 住民税10%。61〜64歳の年金は再雇用の給与に上乗せされるものとして j × 15.105%。65歳以降は年金だけの収入として、所得税 = (j – 104万円) × 5.105%、住民税 = (j – 43万円) × 10% (マイナスは0)。社会保険料控除などは引いていないので、実際の税金はこれより少なくなります

単位:万円60歳61歳62歳63歳64歳65歳66歳67歳68歳
a. 会社の退職金1,00000000000
b. 退職金の控除80000000000
c. 退職金の所得 (退職所得)
c = (a – b) / 2
10000000000
d. iDeCo一時金000000000
e. iDeCo年金 (年額)08080808080000
└ 1回の受取額 (6月・12月)04040404040000
f. 公的年金00000180180180180
g. 一時金の控除 (iDeCo)000000000
h. 年金の控除 (e + f に対して)6060606060110110110110
i. 一時金の所得 (退職所得)
i = (d – g) / 2
000000000
j. 年金の所得 (雑所得)
j = e + f – h
020202020150707070
税金 (退職金・公的年金を含む) ※15.13333132.72.72.7
うちiDeCoで増えた税金0333310.3000

61〜64歳:年金の所得は80万円−60万円=20万円で、20万円×15.105%=3.0万円。4年で3.0万円×4=約12.1万円です。

65歳:年金の所得は80万円+180万円−110万円=150万円です。所得税は (150万円−104万円) ×5.105%=2.3万円、住民税は (150万円−43万円) ×10%=10.7万円で、合計13.0万円。公的年金だけなら2.7万円なので、iDeCoで増えたのは10.3万円です。

合計は12.1万円+10.3万円=約22.4万円で、一時金 (約24.2万円) とあまり変わりません。5年が最短の受け取り期間なので、61歳から始めると最後の1年が必ず65歳に重なります。

C. 併用 (一時金80万円+年金5年)

表8 一時金80万円+年金5年で受け取る場合

※税金 = (c + i) × 15.105% + 年金の所得 j にかかる税金。退職所得 (c・i) は他の所得と分けて課税され、このモデルでは所得税5% (195万円以下の区分) + 復興特別所得税0.105% + 住民税10%。61〜64歳の年金は再雇用の給与に上乗せされるものとして j × 15.105%。65歳以降は年金だけの収入として、所得税 = (j – 104万円) × 5.105%、住民税 = (j – 43万円) × 10% (マイナスは0)。社会保険料控除などは引いていないので、実際の税金はこれより少なくなります

単位:万円60歳61歳62歳63歳64歳65歳66歳67歳68歳
a. 会社の退職金1,00000000000
b. 退職金の控除80000000000
c. 退職金の所得 (退職所得)
c = (a – b) / 2
10000000000
d. iDeCo一時金0800000000
e. iDeCo年金 (年額)06464646464000
└ 1回の受取額 (6月・12月)03232323232000
f. 公的年金00000180180180180
g. 一時金の控除 (iDeCo)0800000000
h. 年金の控除 (e + f に対して)6060606060110110110110
i. 一時金の所得 (退職所得)
i = (d – g) / 2
000000000
j. 年金の所得 (雑所得)
j = e + f – h
04444134707070
税金 (退職金・公的年金を含む) ※15.10.60.60.60.610.62.72.72.7
うちiDeCoで増えた税金00.60.60.60.67.9000

61歳の一時金:(80万円−80万円) ÷2=0円なので、税金は0円です。年金は残りの320万円を5年で、年320÷5=64万円です。一時金は受け取り開始のときに支払われ、年金も同じ年から始まるものとして計算しました。支払いの時期は金融機関の手続きで変わるので、請求の前に確かめてください。

61〜64歳:年金の所得は64万円−60万円=4万円で、4万円×15.105%=0.6万円。4年で約2.4万円です。

65歳:年金の所得は64万円+180万円−110万円=134万円。所得税は (134万円−104万円) ×5.105%=1.5万円、住民税は (134万円−43万円) ×10%=9.1万円で、合計10.6万円です。公的年金だけの2.7万円との差、7.9万円がiDeCoで増えた分で、合計は2.4万円+7.9万円=約10.3万円です。

D. 併用+公的年金を66歳から

表9 併用+公的年金を66歳から受け取る場合

※税金 = (c + i) × 15.105% + 年金の所得 j にかかる税金。退職所得 (c・i) は他の所得と分けて課税され、このモデルでは所得税5% (195万円以下の区分) + 復興特別所得税0.105% + 住民税10%。61〜64歳の年金は再雇用の給与に上乗せされるものとして j × 15.105%。65歳以降は年金だけの収入として、所得税 = (j – 104万円) × 5.105%、住民税 = (j – 43万円) × 10% (マイナスは0)。社会保険料控除などは引いていないので、実際の税金はこれより少なくなります

単位:万円60歳61歳62歳63歳64歳65歳66歳67歳68歳
a. 会社の退職金1,00000000000
b. 退職金の控除80000000000
c. 退職金の所得 (退職所得)
c = (a – b) / 2
10000000000
d. iDeCo一時金0800000000
e. iDeCo年金 (年額)06464646464000
└ 1回の受取額 (6月・12月)03232323232000
f. 公的年金000000195.1195.1195.1
g. 一時金の控除 (iDeCo)0800000000
h. 年金の控除 (e + f に対して)6060606060110110110110
i. 一時金の所得 (退職所得)
i = (d – g) / 2
000000000
j. 年金の所得 (雑所得)
j = e + f – h
04444085.185.185.1
税金 (退職金・公的年金を含む) ※15.10.60.60.60.604.24.24.2
うちiDeCoで増えた税金00.60.60.60.60000

61〜64歳はCと同じで、約2.4万円です。

65歳:公的年金をまだ受け取らないので、iDeCoだけで控除110万円を使えます。年金の所得は64万円−110万円でマイナスなので0円、税金も0円です。66歳からの税金 (4.2万円) は公的年金だけにかかる分で、iDeCoによるものではありません。合計は約2.4万円で、公的年金は1年遅らせた分、0.7%×12か月=8.4%増えます。

60〜64歳に働いておらず他に収入がなければ、61〜64歳の4万円ずつにも税金はかかりません。

E. 税金をゼロにする受け取り方

表10 一時金80万円+年金6年+公的年金を67歳から受け取る場合

※税金 = (c + i) × 15.105% + 年金の所得 j にかかる税金。退職所得 (c・i) は他の所得と分けて課税され、このモデルでは所得税5% (195万円以下の区分) + 復興特別所得税0.105% + 住民税10%。61〜64歳の年金は再雇用の給与に上乗せされるものとして j × 15.105%。65歳以降は年金だけの収入として、所得税 = (j – 104万円) × 5.105%、住民税 = (j – 43万円) × 10% (マイナスは0)。社会保険料控除などは引いていないので、実際の税金はこれより少なくなります

単位:万円60歳61歳62歳63歳64歳65歳66歳67歳68歳
a. 会社の退職金1,00000000000
b. 退職金の控除80000000000
c. 退職金の所得 (退職所得)
c = (a – b) / 2
10000000000
d. iDeCo一時金0800000000
e. iDeCo年金 (年額)053.353.353.353.353.353.300
└ 1回の受取額 (6月・12月)026.726.726.726.726.726.700
f. 公的年金0000000210.2210.2
g. 一時金の控除 (iDeCo)0800000000
h. 年金の控除 (e + f に対して)6060606060110110110110
i. 一時金の所得 (退職所得)
i = (d – g) / 2
000000000
j. 年金の所得 (雑所得)
j = e + f – h
0000000100.2100.2
税金 (退職金・公的年金を含む) ※15.10000005.75.7
うちiDeCoで増えた税金000000000

税金をゼロにする方法はあります。年金の期間を6年に延ばすと、年320÷6=53.3万円です。

61〜64歳:53.3万円−60万円はマイナスなので0円。65〜66歳:公的年金をまだ受け取らないので53.3万円−110万円もマイナスで0円。どの年も課税対象額が0円になります。公的年金は2年遅らせた分、0.7%×24か月=16.8%増えます。

ただし、公的年金を受け取らない65〜66歳の2年間は、生活費を退職金などでまかなう必要があります。税金だけでなく、手元のお金の流れまで含めて選んでください。

みらい
みらい

公的年金を遅らせるって、そんなに簡単にできるの?

たく
たく

65歳で請求せずに、受け取りたい年齢になってから請求するんだ。ただ、その間の生活費をどう出すかが決め手になるよ。

F. 退職金が少ないと控除が残る

退職金が600万円 (勤続20〜24年の高校卒の平均557万円に近い額) なら、自分の控除800万円に届きません。このため、計算上の勤続期間が600÷40=15年 (40〜55歳) に短くなり、計算上の重なる期間は3年 (52〜55歳) だけです (表3)。iDeCoの控除は320万円−40万円×3年=200万円残ります。

表11 退職金600万円:一時金200万円+年金5年+公的年金を66歳から受け取る場合

※税金 = (c + i) × 15.105% + 年金の所得 j にかかる税金。退職所得 (c・i) は他の所得と分けて課税され、このモデルでは所得税5% (195万円以下の区分) + 復興特別所得税0.105% + 住民税10%。61〜64歳の年金は再雇用の給与に上乗せされるものとして j × 15.105%。65歳以降は年金だけの収入として、所得税 = (j – 104万円) × 5.105%、住民税 = (j – 43万円) × 10% (マイナスは0)。社会保険料控除などは引いていないので、実際の税金はこれより少なくなります

単位:万円60歳61歳62歳63歳64歳65歳66歳67歳68歳
a. 会社の退職金60000000000
b. 退職金の控除80000000000
c. 退職金の所得 (退職所得)
c = (a – b) / 2
000000000
d. iDeCo一時金02000000000
e. iDeCo年金 (年額)04040404040000
└ 1回の受取額 (6月・12月)02020202020000
f. 公的年金000000195.1195.1195.1
g. 一時金の控除 (iDeCo)02000000000
h. 年金の控除 (e + f に対して)6060606060110110110110
i. 一時金の所得 (退職所得)
i = (d – g) / 2
000000000
j. 年金の所得 (雑所得)
j = e + f – h
00000085.185.185.1
税金 (退職金・公的年金を含む) ※0000004.24.24.2
うちiDeCoで増えた税金000000000

61歳の一時金:(200万円−200万円) ÷2=0円。年金は残りの200万円を5年で、年40万円 (6月と12月に20万円ずつ) です。

61〜64歳:40万円−60万円はマイナスなので0円。65歳:公的年金をまだ受け取らないので40万円−110万円もマイナスで0円。税金はゼロです。公的年金を65歳から受け取る場合でも、65歳の年の年金の所得は40万円+180万円−110万円=110万円で、所得税0.3万円+住民税6.7万円=7.0万円。公的年金だけの2.7万円との差、約4.3万円にとどまります。

どの条件でも、一時金にする額を「iDeCoに残る控除の額」に合わせるのが共通のコツになります。

60歳以降の収入で変わる判断

どの受け取り方が有利かは、60歳以降にどれだけ収入があるかで変わってきます。再雇用で働けば年金の分に高い税率がかかり、公的年金をいつ受け取るかでも重なり方が違ってきます。

ここでは、再雇用で働く場合、公的年金を遅らせて受け取る場合、そして税金以外に確かめておきたい点の3点を順に取り上げる形です。表6〜表11の数字も、この前提しだいです。

再雇用で働くと税率が上がる

60歳以降も働いて給与があると、iDeCoの年金は給与に上乗せして課税されます。上乗せ分の所得税の税率が5%から10%に上がると、税率は合計15.105%から20.21%になり、61〜64歳の年金にかかる税金は約1.3倍に増えます。一方、一時金は給与と分けて課税されるので、給与の影響を受けません。

働く収入が大きい人ほど、年金に回す額を小さくするほうが有利です。

公的年金の繰下げと組み合わせる

公的年金は、66歳以後75歳までの間で受け取りを遅らせることができ、1か月遅らせるごとに0.7%増えます。老齢基礎年金と老齢厚生年金は、別々に遅らせることもできます (出典:日本年金機構 繰下げ受給)。

66歳から受け取れば8.4%増えるうえ、65歳の年はiDeCoだけで控除を使えます。表9と表10が、この組み合わせです。

手数料と住民税も確認する

受け取るたびに、1回440円の給付手数料がかかります (出典:楽天証券 iDeCoの手数料)。年金を年1回・5年なら2,200円、併用で一時金を足すと2,640円です。

年金で受け取った分は住民税の計算にも入るので、国民健康保険料などが所得で決まる人は、自治体で影響を確かめておいてください。

まとめ|控除を2つとも使い切る

もう一度、結論です。退職金を先に受け取る人は、iDeCoの受け取り方で税金が大きく変わります。

  • 一時金の控除は縮小されることがある:計算上の重なる期間の分が差し引かれる。どこまで縮小されるかは退職金と勤続年数しだいで、控除の最低額は80万円
  • 50代で入ると61歳以降に受け取る:60歳の退職金より必ず後になり、調整は避けられない
  • 年金だけだと65歳に重なる:公的年金と控除を分け合い、税金は一時金とあまり変わらない
  • 併用が軸:一時金の控除の額までは一時金、残りは65歳になる前に年金で
  • ゼロにもできる:年金を6年にして、公的年金を67歳から受け取れば税金はかからない
  • 働く収入と公的年金で調整する:再雇用の給与が多いほど年金を減らし、公的年金の繰下げで重なりを消す

まず、会社の退職金の見込み額と、iDeCoの加入期間を確認してください。表2の手順で控除を出せば、どの受け取り方が合うかが見えてきます。

iDeCoを始めるなら、受け取り方まで考えて選んでください

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よくある質問

Q1. 退職金の受け取りを遅らせることはできますか?

会社の制度しだいです。定年で退職すれば、その年に退職金を受け取るのが一般的です。企業年金で年金払いを選べる会社もあるので、人事の担当に確かめてください。

Q2. iDeCoの一時金の控除はいくら残りますか?

会社の退職金と勤続年数で変わり、控除の最低額は80万円です。退職金が自分の控除に近いほど縮小され、控除より十分少なければ、iDeCoの控除はまるごと残ります。表3で自分に近い行を探してください。

Q3. 年金は何年で受け取るのがよいですか?

公的年金をいつ受け取るかしだいです。65歳から受け取るなら、65歳の年と重なる期間をできるだけ短くするのが基本です。公的年金を67歳まで遅らせられるなら、6年にすると税金をゼロにできます (表10)。受け取りの期間は5年以上20年以下で、1年刻みです。

Q4. 60歳以降も掛金を出し続けられますか?

2026年12月から、70歳未満まで入れるようになります。加入を続けると受け取りの時期や加入期間が変わるので、掛金の決まり方はiDeCoの掛金の記事もあわせて確認してください。

Q5. 退職金が先の50代は、iDeCoに入るべきですか?

筆者の意見では、退職金が先の50代にiDeCoは不要です。この記事のとおり、受け取りがこれだけ複雑になるためです。ただし、すでに入った人も、受け取り方を決めておけば節税の効果は残ります。

この記事は筆者個人の考え方と、公開されている資料をもとにした試算をまとめたもので、特定の受け取り方を勧めるものではありません。計算例の金額はすべて架空のモデルで、税額は概算です。制度は2026年9月時点のものです。実際の判断は、税務署や税理士に確認してください。

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