「持株会の配当金や売却益に税金はかかるの?」「確定申告は必要?」――勤務先の持株会に入っていると、一度は気になるテーマです。
東京証券取引所の従業員持株会状況調査結果でも、上場企業の8割超で持株会制度が導入されています。それだけ身近な制度なのに、税金の扱いは意外と知られていません。

俺も投資の知識がほとんど無いまま、なんとなく持株会に入ったクチなんだ。今思えば入る必要は無かったけど、配当金の税金は確定申告で取り戻せるって後から知ったよ

えっ、税金が戻ってくるの?放っておいたら損ってこと?
この記事では、持株会の税金と確定申告について「配当金」「売却・引き出し」の両面から、実体験を交えて分かりやすく解説します。2024年(令和6年度住民税)からの改正にも対応した最新の内容です。
そもそも持株会に入るべきか迷っている方は、先に持株会って儲かる?それとも損する?もあわせてどうぞ。
持株会と新NISAのどちらを優先すべきかは持株会と新NISA、どっちを優先?で解説しています。
結論:持株会の税金で押さえるのは3つだけ
- 配当金には約20.315%の税金が自動で源泉徴収される(基本は申告不要)
- 配当控除を使えば、課税所得が低い人ほど確定申告で税金が戻る(目安:課税所得695万円以下)
- 株を売却・引き出しして利益が出たら譲渡所得として課税。口座の種類で申告要否が変わる
持株会の配当金にかかる税金は約20.315%
持株会にも当然、配当金が支払われます。多くの場合は税金が自動で差し引かれたうえで自動再投資されるため、自分では何もしなくても納税は完了しています。
差し引かれている税率は、通常の上場株式と同じ合計20.315%です。
| 内訳 | 税率 |
|---|---|
| 所得税(復興特別所得税込み) | 15.315% |
| 住民税 | 5% |
| 合計 | 20.315% |
「自動で引かれて再投資」なので楽ですが、中身を知らないまま放置すると、本来は払わなくてよい税金まで納めっぱなしになりがちです。そこで登場するのが次の「配当控除」です。
【確定申告は必要?不要?】ケース別早見表
まず「自分は確定申告が必要なのか」をケース別に整理します。
| ケース | 確定申告 | ポイント |
|---|---|---|
| 配当金を受け取っている(源泉徴収済み) | 原則 不要 | ただし配当控除で戻る人は申告した方がお得 |
| 持株会の株を売却・引き出して利益が出た | 口座次第 | 特定口座(源泉あり)は不要/一般口座・源泉なしは必要 |
| 売却して損失が出た | 任意(推奨) | 申告すると損益通算・3年間の繰越控除が使える |
| 給与以外の所得が年20万円を超える | 必要 | 会社員でも申告義務あり |
つまり「申告しなくても罰則は無いが、申告した方が得をするケースが多い」のが持株会の税金の特徴です。以下で具体的に見ていきます。
配当控除で税金が戻る仕組み
引かれた配当金の税金は、確定申告で「配当控除」を使うと一部が還付されます。ポイントは、確定申告のときに課税方式を「総合課税」で申告することです。
総合課税と申告分離課税の違い
- 総合課税:給与など他の所得と合算して累進税率で計算。配当控除が使える
- 申告分離課税:配当・株式の利益を分離して一律約20%で計算。配当控除は使えない
配当控除を受けたいなら総合課税を選びます。課税所得1000万円以下の部分は、所得税で10%、住民税で2.8%の配当控除が受けられます。
【2024年改正・重要】所得税と住民税は”同じ課税方式”に統一された
ここが一番大切で、多くの古い記事が間違ったままのポイントです。
以前は「所得税は総合課税(配当控除を取る)/住民税は申告不要(5%のまま)」といういいとこ取りができました。ところが令和4年度の税制改正により、2024年(令和6年度の住民税=令和5年分の確定申告)から、所得税と住民税で異なる課税方式を選べなくなりました(参考:東京都北区の告知ほか各自治体)。

じゃあ総合課税にすると、住民税も5%じゃなくなるってこと?

そういうこと。総合課税にすると住民税は10%、配当控除2.8%を引いて実質7.2%になる。源泉の5%より高くなるんだ。だから”誰でもお得”じゃなくて、所得が低い人ほどお得に変わったんだよ
配当控除でいくら戻る?課税所得別の早見表
総合課税にした場合の「配当にかかる実質的な税率」を、源泉徴収のまま(20.315%)と比べたのが下表です。住民税は総合課税で実質7.2%として計算しています。
| 課税所得 | 総合課税の実質税率(目安) | 源泉20.315%と比べて |
|---|---|---|
| 195万円以下 | 約7.2% | ◎ 大きく戻る |
| 195万〜330万円 | 約7.2% | ◎ 大きく戻る |
| 330万〜695万円 | 約17.2% | ○ 戻る(約3%お得) |
| 695万〜900万円 | 約20.2% | △ ほぼ同じ |
| 900万円超 | 約30%〜 | ✕ 逆に損 |
つまり目安は課税所得695万円以下なら総合課税(配当控除)がお得、特に330万円以下の人は効果が大きいということ。改正前に言われていた「課税所得900万円以下ならお得」は、住民税のいいとこ取りが前提だった古い基準なので注意してください。
※「課税所得」は、年収から給与所得控除や社会保険料・各種控除を引いた後の金額です。会社員ならざっくり年収(税込)500万円前後で課税所得は200万円台が目安で、多くの会社員は「お得ゾーン」に入ります。
総合課税で申告すると、配当が「合計所得金額」に加算されます。国民健康保険料・後期高齢者医療・介護保険料・配偶者控除や扶養の判定などに影響する場合があります。会社の社会保険に入っている現役会社員は影響が小さいですが、国保加入者(自営業・退職後)や扶養の範囲で働く方は要注意です。
確定申告のやり方と注意点
e-Taxなら自宅で完結
確定申告はe-Taxが便利です。マイナンバーカードと、対応スマホ(またはICカードリーダー+パソコン)があれば、一歩も外に出ずに自宅で完結します。レシートや配当の証明書類も、原則として送付は不要です。
持株会の配当については、会社や信託銀行(持株会の事務委託先)から届く配当金計算書・年間取引報告書などの金額を入力します。手元に見当たらない場合は、持株会事務局に確認しましょう。
ふるさと納税をしている人は要注意
ふるさと納税でワンストップ特例を使っている人が確定申告をすると、ワンストップの申請は無効になります。確定申告の中で寄付金控除をあらためて申告し直さないと、ふるさと納税分の控除が受けられません。配当控除の申告と一緒に、寄付金控除も必ず入力してください。
還付金が少額でも、一度やってみる価値あり
「配当が少ないから戻る額も小さい、やるだけ無駄」という声もあります。確かに時間単価は大切ですが、こうした制度は実際にやってみないと身につきません。還付が少額のうちに確定申告に慣れておけば、将来まとまった配当や売却益を扱うようになったときに失敗しません。
持株会の株を売却・引き出したときの税金
👉 退職・転職で持株会がどうなるか(移管・売却・税金)を詳しく知りたい方は持株会は退職・転職するとどうなる?もどうぞ。
退職・転職や、まとまったお金が必要になったときに、持株会の株を引き出して売却することがあります。このとき出た利益は「譲渡所得」として、配当と同じく約20.315%が課税されます。
👉 退会・引き出し・売却の具体的な手続きの流れは、持株会のやめ方|退会・引き出し・売却の手続きと損しない選び方でまとめています。
- 取得価額:持株会は毎月買い増すため、平均取得単価で計算します。引き出し時に証券会社へ移管した株は、この取得価額の引き継ぎに注意(一般口座になると自分で計算が必要)
- 特定口座(源泉徴収あり)に移管すれば、売却益の計算と納税を証券会社が代行。確定申告は原則不要で一番ラク
- 損失が出た場合:確定申告すれば、その年の他の株の利益と損益通算でき、引ききれない分は翌年以降3年間の繰越控除が使えます
「引き出すとき、特定口座(源泉徴収あり)に入れておく」だけで、その後の手間と申告ミスがかなり減ります。退会・引き出しの手続き前に、移管先の口座種別を確認しておきましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 持株会の配当は確定申告しないと脱税になりますか?
いいえ。配当は支払い時に源泉徴収(納税)済みなので、申告しなくても問題ありません。あくまで「配当控除で戻る人は申告した方がお得」というだけです。
Q. 課税所得が高い人はどうすればいい?
課税所得900万円超の人は、配当を総合課税にすると逆に税負担が増えます。申告分離課税(または申告不要)のまま、源泉徴収の20.315%で完結させるのが基本です。
Q. 持株会の株はNISAに入れられますか?
持株会の中ではNISAは使えません。引き出して自分の証券口座へ移し、あらためて買い直す形なら新NISAの対象にできますが、いったん売却して買い直す扱いになる点に注意が必要です。
まとめ:放置せず、確定申告で取り戻そう
- 配当金は約20.315%が自動で源泉徴収(基本は申告不要)
- 配当控除を使うなら確定申告で「総合課税」を選択
- 2024年から所得税と住民税は同じ課税方式に統一(住民税だけ申告不要は廃止)
- お得の目安は課税所得695万円以下(特に330万円以下は効果大/900万円超は逆に損)
- ふるさと納税のワンストップ特例は確定申告で無効→寄付金控除を申告し直す
- 売却・引き出しは「特定口座(源泉徴収あり)」が一番ラク/損失は申告で繰越控除
持株会の配当は「自動計算されたまま放置」しがちですが、放っておくと払わなくてよい税金を納めっぱなしになっていることも多いです。自分の課税所得を確認して、お得になるなら確定申告で取り戻しましょう。
そもそも持株会を続けるべきか迷っている方は、持株会って儲かる?それとも損する?もぜひご覧ください。
※本記事は一般的な情報提供であり、税務アドバイスではありません。税制は改正されることがあり、個別の判定は条件によって異なります。最新の取り扱いは国税庁やお住まいの自治体の情報をご確認のうえ、必要に応じて税理士にご相談ください。
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